岩泉純木通信Iwaizumi Jyunboku Times

10/7

心配された台風18号は、幸いにも被害をもたらすことなく、通り過ぎました。
台風10号のような、極端な大雨は予想されていませんでしたが、
川底が土砂で埋まり、浅くなっています。
それにより、通常の状態で、水面が何十センチも高くなっています。
ですから、ところによっては、そこそこ増水しただけで、溢れてしまいかねません。
危険なので、普通ならば、町や県が工事を行い、土砂を取り除きます。
しかし、今はそれができません。
今にも崩れそうな道路や、崩れてしまった護岸や、危険な状態の家屋など、
一刻も早く直さなければならない場所が、あまりに多すぎます。
間もなく季節は冬。
不安を抱えたまま、季節は過ぎていきます。

さて、昨日は材木救出大作戦の締めくくり。
残された重機を回収していただきました。
トラックも、運転手さんも、運んできてくださったときと同じ。
ほんの一時、体を休めたバックホウは、また次の現場へと旅立っていきます。
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被災から1か月あまり。
修理を待ちながら待機していたフォークリフトが、先日の修理完了を経て、
いよいよ再起動です!
除雪に使っているバケットを取り付け、溜まってしまっていた土を、
一気に移動。
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昨日は木曜日で、盛岡店が休みでした。
店長は、定休日には毎週、手伝いに来てくれています。
休みは定休日だけですから、まったく休みをとっていません。
頭が下がる思いです。
今回は、社長の求めに応じ、小型ダンプをリースしてきてくれました。
盛岡でも、被災地向けの需要が多いのか、何件かあたって、やっと確保できたとのこと。
特に泥土となれば、ダンプでなければ荷下ろしがとても大変。
助かりました。
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職人たちは引き続き、製材機の泥除去を頑張ってくれています。
一芸に秀でるものは多芸に通ずといいますが、てきぱきと家具作りをしていると、
こういった作業も無駄なくこなせるみたいです。
とはいえ、この1か月、普段以上の肉体労働をしています。
多くの職人は、若くもありません。
できれば温泉にでも招待してあげたいのですが・・・。
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祖父の代から使ってきた製材機は、台車がレールの上を走ります。
そのレールは、鉄道のような枕木がなく、左右のレールがそれぞれ固定されています。
その間に大きな溝があり、ここに泥がぎっしり。
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数日かけて、6割がたの泥をかき出してくれました。
ただ、今日はダンプがありません。
困っていると、ちょうど町から委託されている業者さんが、
この一帯の泥除去にいらしていました。
フォークリフトでも泥がすくえるとはいえ、「すくえなくはない」程度。
特に足回りがこういう作業には向いていません。
専用の重機は、やっぱり早いです。
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いろいろな業者さんが入れ替わる今日、またもセーフティーローダーが!
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こちらの業者さんは、今回の浸水で廃車になってしまった、社用車2台を
引き取りにいらっしゃいました。
水没・全損になったハイエースのエンジンには、当然、火が入りません。
トラックについているウィンチで、引っ張り上げます。
こういう作業を見るのは大好きですが、今回は愛着のあるハイエース。
しんみりと見守ります。
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ありがとうハイエース。
車歴9年、走行距離19万キロ。
私が担当になって5年ほど、10万キロ以上走り、たぶん100泊以上この中で寝ました。
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さようならトヨエース。
車歴8年、走行距離はまだ10万キロちょっと。
丸太の運搬から、家具の運搬、商店街のお祭りの手伝いまで、何でもこなしてくれました。
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今、中古トラックの登録手続きをしていただいています。
車歴はトヨエースよりずっと長く、走行距離はずっと短いという、
なんともおもしろいトラックが、遠く群馬県から来てくれます!
それを前に、登録手続きに必要な車庫証明を申請。
場合によっては数日後になる現地確認に、すぐ来てくださいました。
通常、車庫証明の発行には1週間かかるとか。
少しでも早まればいいんですが、お役所(警察)ですから、
あまり融通が利かなそうですね(小声)。

さらに今日は待ちに待った、水没した木工機械の修理引き取りの日です。
もっと早く出したかったのですが、当初は修理屋さんのあてがなく、
次にはフォークリフトが直るまで積むことができず、
しまいには直ったばかりのフォークリフトに別の不具合が出て、数日延期に。
浸水で壁が壊れたことと、同じく浸水で傷んだ床を剥がしたことで、
フォークリフトが工房の中まで入ってこれるようになりました。
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広いようでも、フォークリフトには狭い工房内。
そこはベテランのスタッフ、繊細に操縦して、どこにもぶつけず、
もちろん誰にもけがをさせず、なんとか外まで運んでくれました。
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これらの機械は、盛岡の機械屋さんが手をかけてくださいます。
こまめにメンテナンスしていれば、直る可能性がもっと高かったと思います。
しかし、工房の泥の量が多く、土台が腐らないよう床も壁も剥がす必要があり、
材木倉庫とともに流された材木を回収せねばならず、
崩落しかけた倉庫からの材木搬出を業者さんにお願いしたこともあり、
とても手が回りませんでした。
機械にはかわいそうなことをしてしまいましたが、祈って待ちたいと思います。
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フォークリフトが工房内へ、と書きましたが、被災前は一切、
中までは入れませんでした。
そのため、フォークリフトでトラックから降ろした材木は、
1枚ずつ手作業で、入り口を経て作業場へと運ばなければなりませんでした。
段差があるため、台車も使えませんでした。
ベテラン職人の体の負担を少しでも減らしたく、入り口の中までフォークリフトが入り、
作業場から塗装場まで段差のない、フラットな工房にしたいと考えています。
ただ、坪数が多い(約100坪)ことから、特に後者については少々費用が掛かります。
しかしなんとか実現させたく、クラウドファンディングによる資金調達を考えています。
実現した折には、どうか少額からでもご協力いただけましたら幸いです。