岩泉純木通信Iwaizumi Jyunboku Times

9/18

このところ空模様がすっきりしなくて、涼しいのは助かるんですけど、
台風16号の情報もあり、不安ですね。
なんとかそれてほしいのですが・・・。

さて、今日は、2日分をまとめて掲載しようと思います。

9月17日(土)
ボランティアの方々、友人知人の方々のお手伝いをいただいて、
なんとか、床上の泥が片付きました。
このまま床を洗って、機械を入れ替えて、仕事を始めることは、
できないわけではありません。
でも床下の泥は、基礎を腐らせ、文字通り、工房の土台を揺るがしかねません。
そこで、これから床を剥がして、下の泥をかき出していきます。
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ちなみに、写真を撮った場所は違いますが、この部屋は、
被災直後はこんなことになっていました。
うちのスタッフはじめ、たくさんの方々の努力の跡が伺えます。
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床はベニヤ貼りでしたので、まずは1枚をバリバリと。
うーむ、しっかり泥が詰まってます。断熱材のごとく。
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剥がしたベニヤ板の裏を見ると、白い影が広がっています。カビです。
その下の構造材にも、緑色のカビがあちこちについています。
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前日にお手伝いいただき、床を剥がした部屋と違い、
この部屋の床板の下は、数センチでコンクリ基礎になります。
泥の量はごく浅いものの、空気の循環のない床下ですから、たっぷり水を含んだ、
被災翌日と変わらない、ベタベタの泥です。
ひたすらスコップで一輪車に移し、運び出す、地道な作業が続きます。
ベタベタの泥は、スコップにも一輪車にも、こびりついてはかどりません。
> 前日の状況
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そんな中、私的にお手伝いをしに来てくださったかたが!
東和町にお住まいの陶芸家、伊藤正さんです。
伊藤さんは、独特な質感とデザインの陶芸をなさる方で、
うちの盛岡店でも扱わせていただいていますが、とても人気のある作家さん。
工房の被災を知り、遠くから駆けつけてくださいました。
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モノの助けも届きました!
愛知県蒲郡市にお住まいの親しい木工作家、井崎正治さんが、
職人の手道具の被災を知り、余っている道具を身の回りからも募り、
たくさんお送りくださいました!
工房再開に向けて、物的にも、気持ち的にも、たいへん心強い贈り物です。
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※被災から1週間以上たち、泥から掘り出された手道具たち。
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小さな薪ストーブも、いったん移動させようと思いましたが、これまで以上に重い。
中を見てみると、灰の代わりに泥がいっぱい。徹底してます。泥め。
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この日は夕方から、親交のあるNPO関係の恩人が、お仲間たちを伴ってきてくれました!
皆さんは数日滞在し、ゆかりのある安家地区などのお手伝いをなさるとのこと。
写真に撮る余裕はありませんでしたが、おかげさまで仕事もはかどりました!
陶芸家の伊藤さん、そして社長(父)を含む私の家族とともに。
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9月18日(日)

明けて本日。
今日は先日来てくださった、社長の友人の方々が、
人数を増やして、5人で盛岡から来てくださいました!
業種は様々ですが、みなさん力があり、また手際もよく、
前日に私が難航していた床板はがしを、次々に片づけてくださいます。
また、昨日から来てくださっている皆さんも、朝から来てくださいました。
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体力ではなく、専門性の面で、大きな力になってくださったのは、
昨日からNPOの皆さんと来てくださっている、建築家の小島洋児さん。
ツリーハウスなどの設計も手掛けていらっしゃいます。
見ての通り、コンクリ基礎が一部沈み込み、割れてしまっています。
今後の補強を前提に、安全性とコストを勘案し、提案してくださいました。
こういう光景を見ますと、やはり床下の確認は大事だなあと実感しますねえ。
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おかげさまで大人数になり、どんどん進めてくださいました。
加速感にこちらの対応が追い付かないほど!
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工房の大部分は、床下云々というより、コンクリ基礎の上に、薄い大引と、
5センチ角の根太を置き、その上にベニヤ板を貼っただけの、簡単な構造。
ところが、進めていくうちに、深い炉のような一画が!
赤城山の埋蔵金の特番なら、大騒ぎして翌週に繰り越す場面です!!
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その正体は、昔の排水溝の一部。
この建物が、弊社の前身である製材所だった頃には、大きな排水溝でした。
今では、写真にも写っている、パイプ管で排水しています。
排水溝はわかっていましたが、隅がこんな構造になっているとは、初めて知りました。
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先日引き剥がしてから、ずっと横たわったままだった壁の一部を、
たくさん人がいるうちにと、思いきって人力で起こし、立てかけました。
また取り付けられるといいですねえ。
がっちり作られていたため、とても重かったです。
これまでは動かせず、今日は6人がかりで、なんとか移動しました。
> 被災して壊れ、危険なため引き剥がした状況
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今日は他にも、特別ゲストが二人。
盛岡に住む、私の義父が、朝一で駆けつけてくれました。
水道関係の仕事をしているので、手際はいいわ、体力はあるわで、
周りの人が目を見張るほど。
もう一人、なんと東京にお住まいのユーザー、野口さんが、仕事の合間を縫って、
お手伝いに来てくださいました!
野口さんは6月に行った岩泉・工房見学ツアーにも参加してくださって、
それからわずか3か月足らずでの工房被災に心を痛め、遠いところを来てくださいました。
そのお二人が、黙々と排水溝をさらい、一気に片付けてくださいました。
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その合間に、私は棚の整理。
何年もかけてたまったと思われる埃の中から、怪しげな機械オイルや、
いつのものかもわからないグリスなどが、たくさん発掘されました。
後ほど職人に確認し、いらないものは、ぱっぱと処分してしまいましょう。
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そしてついに、板でふさがれ、泥で埋まっていた、昔の排水溝が、その全容を現しました。
真ん中にある、現在の排水管では、細すぎて、大雨の時は間に合わないとの指摘。
できればこの大きな排水溝を、そのまま使ったほうがいいとのこと。
でもそうすると、今度は工房内に、排水溝から湿気が出てきてしまいます。
悩みます。
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剥がした床板と根太が、わずか2日で、こんな量に。
トラックが無くて運べないのが痛いです。
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移動するために、機械の中から泥をかき出しました。
それほど大きくない内部スペースなのに、こんなにたくさん。
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今回実感したのは、泥をかき出したり、床を剥がしたりしますが、それらの作業の前の、
泥の上の瓦礫を片づけたり、床にある棚を片づけたり、そういうことがどれだけ大変か。
大人数でてきぱき動いてくださって、おかげさまで作業が加速しました。
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そんなわけで、今日も目に見えて仕事が進みました!
ボランティアの方々もそうですが、お手伝いくださる皆さんは、ほぼ例外なく、
仕事の休みの日などに来てくださいます。
お疲れのところに疲れを重ねてしまうようで、なんとも心苦しいですが、
こういう機会だからと甘えさせていただきます。
みなさん、ほんとうにありがとうございました!
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