岩泉純木通信Iwaizumi Jyunboku Times

9/21

Facebookで、日々の情報をまとめているんですが、
日に日に停電地区や断水地区が減っていくのがわかります。
これ自体は嬉しいことなんですが、今のところ、どの地域でも、
まだまだ人手が欲しい状況です。
例えば、自宅に住んではいるけれど、1階は浸水し、2階で寝泊まりしている人。
電気も水道も使えるし、避難所にいないわけですから、数字に載ってきません。
でも、毎日一人で、1階の泥かきや、掃除をしていたりします。
やっとボランティアが来てくれても、必要なことが全部終わるわけではありません。
たとえば、うちも、床上の泥はなくなりましたが、今は床を剥がしたり、
床下の泥をかき出したり、今度は壁を剥がしたりと、やることが山積みです。
うちは会社ですから、まだなんとかなります。
でも個人のお家では、なかなかままなりません。
ご興味のある方は、ぜひボランティアの参加をお願いいたします。
社会福祉協議会が、ボランティアバスを運行していたり、
一部の公共交通機関が、ボランティアを対象に、無料にしてくれたりしています。
岩泉町民、また近隣の宮古市民、久慈市民のために、ぜひお力をお貸しください。

ボランティア情報ほか、岩泉の情報まとめ

さて、今日は嬉しい、近所の(仮)復旧情報からまいりましょう!
工房のすぐ下流にある、町道の一部は、被災して崩落してしまっていました。
それが、しばらく前から工事が始まり、昨夜ついに仮復旧!
22日ぶりに通れるようになりました。
施工は地元の建築業者さん。
これでずいぶん、行き来が楽になりました。
ビフォー&アフター、2つの角度からどうぞ!
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集落の真ん中の浸水道路の瓦礫除去から始まり、岩泉町と外部をつなぐ県道、国道、
集落と集落をつなぐ主要道、孤立地区とをつなぐ山間道などを経て、
ついに生活道路に工事が進んできました。
ありがたいことです。
ただ、ここで問題になるのが、あくまで【仮】復旧であること。
国道ですら、本復旧した箇所は、無いのではと思います。
何十か所、百何十か所、あるいはそれ以上の損壊を、これから何年もかけ、
直していくという作業が始まります。

今日は平日だったんですが、思いがけず、多くの方々がお手伝いに来てくれました!
公式なボランティアではなく、私的に来てくださった方々です。

町内で林業を営む、志和造林の志和さん親子。
うちの父とのつながりもあって、子供のころから時々お会いしてきましたが、
息子さんも、私の身長をすっかり追い抜いてしまいました(笑)
薄暗いところで申し訳なかったのですが、漆場の床剥がしをお願いしました。
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この部屋は、「漆風呂」と呼ばれる部屋。
漆は、「湿度の低いところでは乾かず、湿度の高いところで乾く」という、
変な性質があります。
実は変でもなんでもなくて、「水分が蒸発して乾く」のではなく、
「漆の成分が、空気中の水分と反応して、固まる」という理屈。
この部屋は、湿度と温度を常に高めておいて、漆を塗った家具などを、
一時的に置いておき、漆を乾かす(固める)ために使ってきました。
工房の裏口、漆部屋の戸、そしてこの漆風呂の戸と、3枚の戸をものともせず、
泥水は入ってきました。
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弊社スタッフによって、泥はかき出されていましたが、床を剥がしてもらうと、
やっぱり泥がたくさん詰まっていました。
来週は、ここの泥出しもしなければなりません。
実は志和さん、自宅は無事でしたが、事務所や倉庫が被災したとのこと。
丹精込めて育てた森林や、リンゴ園も、大きな被害を受けました。
その中で、道の駅や、弊社のお手伝いをしてくださっています。
私はというと、今のところ自分のところだけ。それでも精一杯です。
自分が大変な時に、周りに手を貸すことのできる人。
数は少なくても、岩泉には確実にいらっしゃるようです。
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次のゲストは、いつも大変お世話になっている、岩手県工業技術センターの、
木工を専門としている有賀さん!
実は今月、この有賀さんたちと、北欧のフィンランドに、
デザインの視察旅行に行ってくるはずでした。
そのわずか1週間前に被災。
泣く泣くあきらめた経緯があります。
新婚旅行も兼ねていたのに(泣)
今日は視察の中の、現地の家具についてや、デザインの地域性について、
いろいろとお話も聞かせていただきました。
また工房再開にあたり、せっかくなので、もっと快適で、もっと仕事のしやすい、
一歩上に進んだ環境づくりをしたいと思っています。
それについても相談させていただきました!
それだけではなく、夕方までひたすら、濡れてカビが生えてきた壁を剥がす、
面倒な作業を続けてくださいました。
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ここ数日、困っていたのが、剥がした床の処理。
社用車のトラックが水没・廃車となり、未だに中古車が見つかりません。
公的な被災廃棄物処理は、別地区を重点的に回っており、しばらく来れないとのこと。
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困っていましたら、先日に引き続き、社長の友人の方々が、
軽トラック2台で、盛岡から駆けつけてくださいました。
「これから稲刈りが始まるから、当分来れないんだよ、ごめんね」
とおっしゃいつつ、相変わらずの手際の良さで、どんどん片付けてくださいました。
合わせて4日くらい来てくださったでしょうか。
この方々のお力なしでは、今の進み具合はありませんでした。
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もう一つ困っていたのが、かき出した泥。
重機を出していただいて片付いていたんですが、床下の泥をかき出していたら、
気づいた時には、山盛りになっていました。
軽トラックで運んでもらってみましたが、まったく減りません。
そこで駆けつけてくださったのが、盛岡在住の義父です!
土木関係のお仕事をしているので、4tダンプと、小型のパワーショベルをリースし、
もうお一人の方と一緒に来てくれました!
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これがまたパワーショベルの扱いがうまく、隅にちょっとたまっていた泥なども、
すっかり片づけてくれました。
中型ダンプ10台分くらいあったでしょうか、たくさんの土砂が、おかげさまで
ほとんど無くなりました。
ただでさえ(立場的に)頭の上がらない義父なのに、
今後は頭が下がりっぱなしになりそうです(笑)
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今日は機械屋さんにも来てもらい、近々木工機械の修理をしてもらう相談も。
また、工房の修復についても、少々突っ込んだところまで相談できました。
まだまだ道のりは長いですが、おかげさまで確実に進んできています。
今日はこんなにたくさんの方が来てくださったというのに、
恒例の集合写真が撮れなかったのが心残りです。
今日は文字だけで。
元気があればなんでもできる。元気があれば、前以上に元気になれる。
1,2,3、ダー!!!