岩泉純木通信Iwaizumi Jyunboku Times

10/3

今日も土曜日に引き続き、花巻市石鳥谷の建設会社、高田工業さんによる、
崩落しかけている倉庫からの、一枚板救出大作戦、その2日目。
高田工業さんは総合的な建設を手掛けていらっしゃって、
住宅のトータルリフォーム、トイレや風呂など水回りの施工、
外構工事、そして中規模の公共工事など、あらゆることに通じるジェネラリスト。
今回は、その経験と技術をいかんなく発揮してくださっています。
https://takata-k.co.jp/

朝8時過ぎ。
今日も早朝に会社を出発、岩泉に来てくださいました。
土曜日の中型ダンプに続き、ユニック車で小型バックホウをお持ち込みに。
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ただのユニック車かと思いきや、なんとセルフローダーじゃないですか!
重機・トラック好きの私、大喜びです笑
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まずは、前日解体したプレハブ倉庫の瓦礫片づけから。
金属瓦礫をダンプに積み込み、小本近くの瓦礫置き場へ。
この後もう1往復したところで、瓦礫の運搬は断念することになりました。
ここから瓦礫置き場まで、片道30分以上、往復で1時間半ほどかかってしまいます。
そこに人員を割いていては、肝心の板救出が間に合いません。
残りはうちで行うことにします。
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金属瓦礫が片付いたところで、バックホウのユニットを付け替え。
はさむためのグラップルから、定番のバケットへ。
これ、近くで見ると大きいです!
親子とかなら、2人並んで座れるんじゃないでしょうか。
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付け替えたバケットで、基礎のコンクリートも、きれいに片づけていただきました。
こういったことは、自前ではできないため、本当に助かりますね。
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コンクリートを片づけたバックホウは、流失した倉庫の跡の、いくらか緩い崖を崩し、
川辺へ降りていきます。
平地と違って、坂道はベテランならではの技術が必要。
バックホウのアームの位置や、クローラー(いわゆるキャタピラ)の向きで、
バランスを崩してしまわぬよう、周囲や足元を見極めながら、道を作ります。
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川辺へ降りたバックホウは、さらに石を動かし、適度に土を盛り、
自らが歩む道を作っていきます。
なお、今回作業したのは、もともと倉庫などがあった、うちの敷地内。
もともと川だった部分などは、勝手に崩したりしてはいけません。
土木センターに確認の上で、適切に作業を行っております。
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一見すると、あまりの凸凹で、バックホウと言えども通れるとは思えなかったこの場所。
しかしクローラーならではの機動性、バケットを活用した足元の地ならし、
そしてベテランの操縦技術で、無事に倉庫下まで向かいました。
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土曜日の倉庫は、まあまあ安定していたため、木のつっかえ棒を入れました。
しかし、今回の倉庫はかなり不安定。
さらに、基礎の下が大きく割れてしまっています。
鉄パイプのつっかえ棒を何本も使ったうえで、バックホウでも支えます。
これは支えるのと同時に、わずかでも基礎が下がった場合に、
すぐに気づいて知らせる役割もありそう。
地震と同じく、初期微動の感知が重要です。
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もう一つの安全の立役者が、この基礎に巻き付けたワイヤー。
これも、基礎の崩壊を食い止める役割を果たしますが、
「初期微動」を最小限、数ミリで抑えることにつながります。
大きな衝撃が加われば、崩壊が一気に起こりますが、
今回のような人力メインの作業の場合、わずかずつ崩壊が広がっていって、
あるとき一気に崩れ落ちる、という段階になると思われます。
そのわずかな崩壊を起こりにくくし、また起こった場合も最小限で抑えます。
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この倉庫は、中身は木造。
下はコンクリートですが、木の柱や梁を使って作られています。
これらのおかげで、周囲の基礎が崩れなければ、全体の崩落の可能性は低いです。
そして周囲の基礎は、そこそこ深さがあるので、中に入って作業をすることに。
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まずは安全なところから、1枚ずつ板を運び出していきます。
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やや大きめのものは二人で。
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こんな状態です。
中央付近は下がっているものの、その下にはしっかりと地面があります。
崩落が起こるとすれば、この地面が崩れるはず。
崖の下のバックホウからは、基礎の状態とともに、この地面の様子にも、
鋭い視線を走らせています。
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大きく割れたコンクリートの基礎。
これは危険性のバロメーターでもあります。
こまめに割れの広さを測り、拡大していないかチェックを怠りません。
結果として、本日の作業中の割れ拡大は無し。
むしろ、割れた部分の上にあった材木の抜き取りで、沈みかけた部分が軽くなったためか、
割れが5ミリ狭くなったとの話も。
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次第に板が大きくなってきました。
立派な板が、次々に運び出されてきます。
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そしてついに、最大の難関にたどり着きました。
身長の2倍もあろうかという、長さ(高さ)3.5メートル、奥行き(幅)70センチもある、
重いナラの木の一枚板です。
これが10枚くらいあります。
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入れたときは、当然床も割れていないし、水平でしたから、板の下に丸棒を挟み、
それをコロにして、なんとか収納していました。
ところが、今はこの状況。
広い倉庫でもありませんから、取り回しも難しく、また勢い余って倒してしまうと、
衝撃で崩れてしまいかねません。
現場でさまざまなアイデアが出され、持ち込んでいただいていたいろいろな道具を使い、
妙案にたどり着きました。
そういったところがすごいです!
臨機応変さは、イレギュラーな様々な現場に対応し、その場その場で最適な
安全策をとることにつながります。
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丈夫な梁に鉄パイプを渡し、そこにチェーンで滑車を取り付けます。
一方、板は小さくともしっかりした万力ではさみ、滑車を通したロープを固定。
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二人がかりでロープを引くと、重い板が動きます。
一方、下のほうは、金テコを使い、じわじわと歩くように動かしていきます。
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天井に届こうかという長い材なので、建物に衝撃を与えないよう、
上にも目を光らせます。
下では指をはさんだら大けがになりますから、手早さと慎重さが必要です。
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前まで出したら、板を横に寝かせて運び出すわけですが、
これだけ長い板ですから、そのまま倒すのは危険です。
土曜日も使ったバンドに付け替え、一気に倒れないよう、慎重に寝かせていきます。
後半は、バンドに付け替えずとも、引き出すための万力で十分だとわかり、
ひと手間減らすことができました。
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皆さんの知恵と力で、無事に難関のナラ材がすべて運び出されました。
最後に、もっとも安全な場所でもある、道路側の板を運び出します。
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大変だったナラ材救出の時と違い、スムーズに材木が運び出されます。
スタッフさんの顔にも笑顔が。
もちろん、気を抜いたら事故の危険がありますから、足元の確認や、
倉庫の中にいるときの警戒を怠らないのは、言うまでもありません。
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ここで活躍したのが、この特製台車。
よく見たら、スケボーじゃないですか。
これはいらっしゃる前からご準備なさっていたものですが、臨機応変さがこんなところにも。
キャスターを使った台車って、固定タイプのキャスターですと向きが変えられませんし、
回転タイプのキャスターですと、ふらふら動いたり、急に横に動いたりして、
まっすぐ走りません。
ところがスケボーは、まっすぐ走るのが基本ですが、ある程度曲がることもできます。
しかも、グリップ力もしっかりしています。
実はとても扱いやすい台車になっていたみたいです。
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救出された一枚板の数々。

ほとんど同じ大きさながら、かたや成長が遅く、200年くらいかけて育った、
目の細かいセンの木(左)と、成長が早く、おそらく70年くらいで太くなった、
目の粗いセンの木(右)。
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迫力ある、トチの木の巨木。
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川の流れのような、美しい木目の、センの木。
「三百年生きてきた木は、三百年使える家具に」という弊社のモットーを
体現するような、おそらくそれくらい生きた木です。
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・・・変なのも出てきました。
なんでムシロで包まれてるんでしょう、これ。
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ここまでで、地面の上にある床に乗っていた材木は、すべて回収できました。
残りは、地面から浮いたコンクリートに乗っているだけの板。
さすがに、これを抜き取るのは危険すぎます。
下から攻めようにも、建物が丸ごと崩落したら、逃げることができません。
また、床が崩れるだけでも、命にかかわります。
内部から、ロープをかけて引っ張ってみてくださいましたが、
ちょっとした衝撃で、板がバランスを崩し、落下してしまいました。
これで迷うことなく決断。
板の「救出」作業はここまで。
これからは倉庫の解体を行っていただき、残りの板は落下もやむなし。
最終的に、瓦礫とともに回収すればOK、ということにしました。
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この後、強い雨が降り始めました。
正確に言うと、終盤から雨が降ったり止んだりして、最後に長い雨に。
ここで今日の作業は終了となり、明日の倉庫解体に向けての検討をしてくださいました。
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建物の中に入っての作業でしたが、安全性を考慮してくださったため、
おかげさまで事故なく、無事に1日の作業が終わりました。
私もちょっとだけ中でお手伝いしたんですが、床が斜めになっていて、
柱なども幾分傾いているわけですから、平衡感覚がおかしくなりました。
その中で、重い板を、何時間も、何十枚も運び続けてくださった、
高田工業のスタッフの皆さま。
ほんとうにありがとうございました。
明日は最終日。
中に入っての作業はしなくてもよいと思いますが、一方で、建物が崩落する
危険性は高くなります。
引き続き、安全第一で、無事に終わることを祈っております。

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