岩泉純木通信Iwaizumi Jyunboku Times

10/4

昨日夕方からの雨が嘘のように、今日はからりと晴れてくれました。
しかしあいにくの風。
浸水した工房の、土台を乾かすには最適ですが、別途進めていただいている、
倉庫の解体と、中の一枚板救出作戦には、危険が伴います。
今朝も早い時間から、花巻市石鳥谷の建設業者、高田工業さんが、
初日からの同じスタッフさん7人で現場入り。
私は少々遅れまして、すみません(汗)
昨日も触れましたが、高田工業さんは住宅のリフォームから、
トイレ・風呂などの水回りの工事、そして中規模の公共工事まで、
あらゆる分野の建設を手掛けるジェネラリスト。
建設の現場は、住宅リフォームなら細やかさや丁寧さ、
大きな屋外工事なら、全体を見通す広い視野が必要になります。
そしてもちろん、住宅の水道工事と、道路の敷設工事などでは、
使う技術が全く異なります。
スタッフさんに、それらの工事で、担当者が別々に決まっているのかと尋ねましたら、
基本的にみんなが、いろいろな現場に携わるとの回答。
つまり、住宅工事も、道路などの土木工事も、同じ人がやれる、ということ。
これはすごいことだと思います!
建設業は技術職ですから、現場への慣れが必要です。
そして手際の良さも重要ですから、言われるがままに動くだけではなく、
次の作業を読んで、自ら動かなければなりません。
これが様々な分野の工事となると、生半可な知識と積極性では間に合いません。
しかし、今回の工事を見てみますと、臨機応変にやり方を考えたり、
材木の移動から倉庫解体、瓦礫の分別片づけ、重機やダンプの運転など、
様々な要素が絡み合っているのがわかります。
それらをスムーズに進めていただいたり、そもそも今回の仕事を請け負っていただいたり
できるのも、こういった下地があってこそ。
建設業界は人の出入りも激しいと聞いたことがありますが、高田工業さんは、
定年以外でスタッフがやめることがまったくないそう。
また、定期的に新卒採用をしているとのことで、うらやましいほど充実した会社さんです。
スタッフさんによると、さすがにこれだけいろいろな分野を請け負うのは
大変のようですが、それがモチベーションと活気にもつながっているのではないでしょうか。
トータルリフォームの高田工業(株) https://takata-k.co.jp/

さて、昨日時点で、残っている材木は、持ち出すのが危険なもの。
これらは無理に運び出そうとせず、倉庫を意図的に安全に崩落させて、
そこから拾い出すという予定です。
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今朝は倉庫を覆うトタンの引き剥がしから。
近年はリサイクル意識の高まりで、こういった解体瓦礫も、分別が義務付けられています。
バールを使って、丁寧に手際よく、トタンを剥がしていきます。
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電柱と並べてみると、いかに傾いているかがわかります。
事故なく進めていただけて、ほんとうにありがたいですね。
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壁を剥がすと同時に、中では火花飛び散る作業が。
立てた板が倒れないよう、鉄筋を張って、簡易スタンドを作っていました。
これが残っていると、倉庫を解体するときに大変なことになります。
急がば回れで、てきぱきと切断していきます。
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上と同時に、下からも。
傾いて写っているように見えますが、これ、ほとんど実際の倉庫の傾きです。
気を緩めることのできない、緊張する作業が続きます。
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そして運び出された鉄筋スタンド。
これも金属としての分別処理になりますから、すべてまとめて集めておきます。
鉄ですから、かなりの重さがあります。
過ごしやすい季節とはいえ、危険と隣り合わせの緊張感、そして重いものを動かす肉体労働、
さらに早朝出発、夜の到着と、長い移動距離を毎日走っての作業。
頭が下がります。
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鉄筋がなくなったおかげで、取り出しやすくなったからと、
さらに一部の材木を運び出すことに。
この倉庫は、中央部の床下の地面が、最も深い範囲に崩落してしまっています。
下手に衝撃を与えると、事故の危険もあります。
衝撃を与えないよう、また自分自身の安全を確保するため、昨日と同じく、
クランプを使って引っ張り出します。
このクランプは、この後の作業でも大活躍でした。
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そうして運び出してくださった一枚板の数々。
センの一枚板。
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これはいい!
おなじくセンの一枚板、今では見られない大きさと、緻密な木目。
長さ210センチ、奥行きは100センチ近いもの。
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同じような一枚板。
おそらく、上のものと同じ丸太からとれたものと思われます。
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倉庫の崖下は、岩がむき出しになっていました。
板が落下した時、少しでも傷がつかないようにと、バックホウで土を盛り、
さらにコンパネを敷いてくださっていました。
こういった心づかいがとても温かいです。
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壁のトタン、その下のコンパネがすべて外され、明るくなりました。
晴れた今日は、暗かった倉庫内がとても開放的な、心地よい空間になったように感じました。
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傾いた壁や、あえてむき出しのままの構造材など、まるで最近はやりの、
大規模木造施設のようです(笑)
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ここで大型バックホウが、倉庫の、入り口と反対側の妻側へ。
繊細な操作でもって、壁を剥がしていきます。
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妻側の壁の一部がなくなったところで、こちらに立っている板の回収を試みます。
こちらの端のほうは、まだ床下の地面がしっかりしているので、
なんとか数枚の板を確保してくださいました。
しかしここで、倉庫の傾きをチェックしてくださっていたスタッフさんからの報告。
「傾きが大きくなってます。」
壁を剥がしたりして、倉庫の強度が下がり、わずかですが傾きが大きくなった模様。
さらに、基礎のコンクリートの割れも、数ミリ広がっています。
これは緊急事態と言っていいでしょう。
ちょうどお昼になったこともあり、内部での作業をここで中止。
この先は一枚たりとも板に手を出すことをやめ、
午後一で、倉庫を安全に崩落させることになりました。
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そして午後。
銀行に行ったりして、ちょっと遅く戻ってきました。
あら、倉庫がない。
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残念、来る直前に、落とす作業は終わっていたようです。
事故もなく、予定通りに進んだとのこと。
柱を切り落としたわけでもないのですが、海岸に打ち上げられたクラゲのように、
みごとにぺったんこになってしまいました。
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残されたコンクリート基礎。
これで、人が中にいる状態での崩落の危険性がなくなり、安心感でいっぱいです。
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午前中に、最後に引き出していただいた一枚板たち。
カリンの一枚板がありますね。
うちでは珍しい、外国の木。
どなたかから引き取ったものかもしれません。
カリンは重いですから、ほかの材木以上に大変だったと思います。
お疲れのところ、ありがたいです。
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崖下に降りてみました。
一連の作業の中で初めて、上を気にすることなく近づけます。
これまでは万が一の崩落に備えて、常に上に気を配りながら歩いていましたから。
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大型のバックホウが下に降りてきて、ここでの倉庫解体が始まります。
構造材に丈夫なワイヤーをかけ、それをバックホウで引っ張って、
屋根を崩していきます。
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壊した倉庫の部材は、そのまま上へ。
ただ、高低差が大きいため、直接バックホウで上げるのは困難です。
ユニック車をこちらへ移動させて、途中で中継し、二段階での引き上げに。
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一枚板が出てきました!
これは落とさないよう、慎重に丁寧に動かしてくださっています。
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これも、中継してユニック車へ。
上と下で、息を合わせた作業が続きます。
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一方、下では大変な作業が続きます。
落下の危険こそなくなりましたが、今度は足元が瓦礫で不安定になってしまいました。
命に係わる怪我のリスクはなくとも、捻挫や骨折の危険は高まります。
釘が刺さってしまうかもしれません。
狭い中で、板を探したり、屋根を崩すための構造材にワイヤーを結び付けたり。
大変な作業を、黙々とこなしてくださっています。
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大きなバックホウですが、倉庫はもっと大きい。
屋根も当然、一度に引き上げることはできません。
バックホウで適当な大きさに分解し、解体していきます。
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屋根の一部がどかされ、まとまって一枚板が出てきました!
それをさらにまとめてくださって、スムーズに回収できるよう、準備万端です。
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昨日から大活躍の、ロープ+クランプ作戦。
当初はバンドで結わえて吊っていましたが、クランプのほうが外れにくく、
付け外しも簡単です。
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ここからは連続写真で。
今回の工事は、大型の重機が大活躍で、それを間近で眺める重機好きの私も大満足です(笑)
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引き続き、2,3人で、瓦礫の中から板を見つけ、釣りやすいよう移動し、
クランプを固定し、バックホウで引き上げ、ユニック車で回収。
テンポよく進みます。
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立派な板が、たくさん集まってきました。
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回収していただいた板たち。
嬉しいことに、ほとんど傷もついていませんでした。
余分な鉄筋を取り払っていただいたことや、
なによりむき出しの岩を、土やコンパネで覆ってくださったのが、功を奏しました。
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要所要所で、倉庫の屋根も解体、引き上げ。
気が付けば、あれほど大きく横たわっていた屋根が、ほとんどなくなっていました。
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もっとも厄介だったのは、やっぱり鉄筋でした。
手前のものはすべて事前に切り取り、外してくださっていましたが、
崖側のものは、危険で手を付けられませんでした。
それだけで大変だったのに、もし手前のものもそのままにしてしまっていたら、
どれだけの手間がかかってしまっていたでしょうか。
目先の楽を追わず、全体の流れから必要な工程をかける。
はい、私の苦手な分野です。反省。
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大きな屋根の部材もまた、中継しながら吊り上げていきます。
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ユニック車の背中に、屋根(の一部)が下りてきました。
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大きな屋根も、瓦礫として運ぶためには、もっと細かくしなければなりません。
そしてなにより、金属と木材とを分別せねばなりません。
小型のバックホウを駆使しながら、丁寧に着実に分解していきます。
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屋根のトタンと木材との間には、漏水防止のためのビニールか何かが。
これも、丁寧に剥がして丸めていきます。
こういった作業の一つ一つに細やかさが見えますが、住宅のリフォーム工事などで
培われた繊細さなのかもしれません。
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屋根がすべて取り払われ、残すはわずかな一枚板と、瓦礫だけに。
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最後にバックホウのバケットに載せて回収。
足場の悪いところでの作業は、疲れが倍増します。
ほんとうに大変な作業をしていただいた数日間でした。
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ここで、本日の作業は終了。
当初は今日で瓦礫の片づけも終わる予定でしたが、思った以上にたくさんの板を
助け出していただけたため、すべて終えるまではいきませんでした。
残りは私たちで行うか、しばらく時間を空けて、地元の建設屋さんなどに頼もうかと思っていました。
そうしましたら、もう一日延長して、最後まで片づけてくださるとのお申し出が。
私も商売をやっているわけですから、7人ものスタッフを、丸1日動かす労力と、
さらに1日追加することで、当初予定されていたはずの、別のお仕事をフォローする大変さは、
重々承知しているつもりです。
ですからどうかと思ったのですが、スタッフさんや社長さんのお心遣いと、
「やっぱり途中で投げ出して終わり、というのはなんか嫌で」
という言葉に納得し(この言葉、とてもよくわかります!まさに立つ鳥跡を濁さず)、
もう1日甘えさせていただくことにしました。
明日は残りの瓦礫の回収と、できる範囲での瓦礫処分(運搬)をしてくださり、
4日にわたる材木救出作戦は、完了する予定です。
こういった崖の上下での倉庫解体は、私たちでは行えません。
板の救出はもちろんのこと、倉庫解体も、大きな大きな助けでした。
明日の作業はこれまでよりずっと安全なものになりますが、
最後まで事故なく、怪我なく、無事に終わっていただければなによりです。

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